~戦争遺跡を史跡・文化財に、 語り伝えよう戦争のこと~

松代大本営(長野市)
松代大本営(長野市)

 

 各地の戦争遺跡保存団体、文化財保存全国協議会、歴史教育者協議会などを中心に、団体や個人が集い、1997年に「戦争遺跡保存全国ネットワーク」が結成されました。

 

 私たちは、戦争遺跡の調査・研究・保存運動、平和資料館、平和教育などについて情報交換をするために、「戦争遺跡資料」の刊行、「戦争遺跡保存全国シンポジウム」の開催などをおこなっています。

 

 一緒に活動しましょう。申し込みは事務局へ。

平和のために戦争遺跡の保存と次世代への継承を

第22回戦争遺跡保存全国シンポジウム愛知豊川大会・大会アピールより

豊川市の現地実行委員の皆さん
豊川市の現地実行委員の皆さん

 2018年8月18・19・20日、愛知県豊川市勤労福祉会館を会場に、延べ350名の参加の下で第22回戦争遺跡保存全国シンポジウム愛知豊川大会が開かれました。大会の開催にあたり、ご後援いただいた豊川市・豊川市教育委員会、ならびに報道各社に対し心より感謝申し上げます。

 

 日中戦争が、泥沼の長期戦の様相を呈し始めた1939(昭和14)年、本野ヶ原の雑木林を切り拓き400人の従業員で開廠された豊川海軍工廠は、アジア太平洋戦争の戦局の拡大によってその規模が膨れ上がり、最盛期には5万6千人もの従業員を抱えることになります。東洋一と称されたこの巨大兵器工場は、海軍の航空機や艦船に装備されるあらゆる兵器が生産され、日本の戦争の推進力となりました。一方、海軍工廠を標的にした1945(昭和20)年8月7日の豊川空襲では、県外からの勤労学徒を含む2600名以上が犠牲となっています。このように豊川海軍工廠は戦争における加害と被害の両面を刻んだ貴重な戦争遺跡です。隣接する豊橋市には日中戦争勃発に伴って陸軍第15師団が再編成され、師団司令部庁舎などの関連施設が国の登録文化財・市の指定文化財となっています。さらに遠州灘沿岸には空襲に備えた陣地が多数構築されています。このように東三河地方には多数の戦争遺跡が残されており、未指定の戦争遺跡についても一刻も早い調査・保存・指定が待たれます。こうした中、市民運動として始まった「豊川海軍工廠跡地保存をすすめる会」は、20年以上にわたる粘り強い活動を通じて市民や豊川市に対し海軍工廠跡地保存の意義を訴えた結果、豊川市は2011年に調査報告書を刊行し、2018年6月には跡地の一部3haを「豊川海軍工廠平和公園」と名付け平和の尊さを学ぶ史跡として整備・公開しました。こうした豊川市の積極的な取り組み、ならびに敷地を提供された名古屋大学に対し心から敬意を表するものです。

 

 史跡・文化財として指定・登録された戦争遺跡は、2018年8月現在286件を数え、マスメディアも戦争遺跡に注目し大きく取り上げています。全国シンポジウムが初めて開催された1997年にはわずか数件であったことからすると、20年余の間に戦争遺跡保存の意義が広く国民に認められてきたことは明らかです。一方で文化庁の『近代遺跡調査報告書⑨(政治・軍事)』は、沖縄戦に関わる記述をめぐって政府から圧力が加えられたことで、発刊の見通しが立たないままいたずらに13年が経過しています。都道府県や自治体においても文化庁の動向を見極めたうえで対応しようとする姿勢が強くなっています。私たちは文化庁に対し、政治的な圧力を排し、客観的、科学的な内容に基づく報告書を一日も早く刊行することを求めます。また都道府県や各自治体においては、報告書の刊行を待つことなく戦争遺跡の悉皆調査、保存、史跡・文化財指定を進めることを求める物です。敗戦から73年が経過し戦争体験者が急速に減っていくなかで、消滅・改変の危機に瀕している戦争遺跡を保存し、戦争の「語り部」として活用することは急務になっています。

 

 全国的な戦争遺跡保存の状況をめぐっては、いくつかの憂慮すべき事態が進行しています。大分県「宇佐市立平和ミュージアム(仮称)」の展示内容をめぐって戦争における加害・侵略の負の側面を欠落させているとの市民の批判が高まっています。さらには旧日本軍の顕彰を目的とするような「軍事博物館」的な資料館の開設が各地で見られること、人吉海軍航空基地に関わる熊本県錦町での過度な戦跡キャラクター表現や「ひみつ基地」の愛称使用のように、戦争や戦争遺跡を美化したり集客目的に利用する傾向が見られることを危惧するものです。戦争遺跡の保存と活用は、侵略と加害・被害・抵抗などの戦争の実相を次世代に継承し平和の実現に寄与することを目的とするものであり、歴史の真実を歪曲、矮小化する動きに私たちは強く抗議します。

 憲法と平和の危機が現実のものになりつつあるいま、戦争遺跡を保存・活用し次世代に継承しようとする私たちの運動は、こうした危うい動向を押しとどめる力となるものと確信しています。戦争に反対し平和な世界の実現に向けて奮闘するすべての人々と手をつないで私たちの運動を進めることを確認し、大会アピールとします。

第23回 戦争遺跡保存全国シンポジウム(2019年)

8月24日~26日 熊本市で開催されます!

復旧がすすむ熊本城(18年11月23日 高柳和生さん撮影)
復旧がすすむ熊本城(18年11月23日 高柳和生さん撮影)

 来年の全国シンポは熊本です。

 すでに9月15日に第1回の大会実行委員会が開催され、順調に組織作りや大会への準備が進められています。

 来年の全国シンポは8月24日(土)~25日(日)の開催で、26日(月)は現地見学会が計画されています。

 震災復興を願い支援しながら、来年は熊本に集いましょう。